Brasserie Soleil(ブラッセリーソレイユ)

【ADDRESS】栃木県那須塩原市厚崎122-9(那須塩原駅から車で15分)

【TEL】          0287746141

【OPEN】      11:00-15:00 18:00-22:00 (定休)月曜日

 2014年8月オープン(今年3年目)、田中シェフが生まれ育った那須塩原市にご自身で土地を購入、ゼロから作り上げたフレンチレストランです。



【お店の人】 オーナーシェフ 田中聡(Satoshi Tanaka)(35歳)



【お店の料理】 Brasserie Soleilのオススメ ~本日のお料理から~  

 一皿目は「長崎の穴子と白身魚のムースのルーローと自家製ジャンボン・ブラン(ボイルハム)」。地元特産のヤシオポークをつかったジャンボン・ブランと断面がきれいなルーロー。「(ジャンボン・ブランは)ちょっと落ちつかせた方が美味しいけれど出来立ても旨い」とのこと。以前からFacebookに挙がってたので本日リクエストした一品でもあります。外食のシーンでスタートは何よりも印象に残りやすく大事だと、いつも思っています。ホテルで例えたらベルマンのお声掛けに似ています。この1枚の彩りは味の感じ方にも勿論影響し、続くお皿への期待感も増します。

 パンは同じ那須塩原市内、黒磯駅近くの「カルネブレッド(那須塩原市本町5-2)」さんから。こちらも印象に残るプレゼンでした。


 二皿目は最近久しぶりにシェフが再トライされているという「パテ・アン・クルート」。素材、ビジュアル、焼き加減がお店によって様々で奥深く、手間がかかり技術も要るメニューです。飲食店に行って、タイミングよく巡り合えれば迷わずオーダーします。今日は柚ソースと紫キャベツのマリネが添えられて黒いプレートによく映えます。 


 三皿目はニュージーランド産ラム肉のロースト。「肉々しい方が好き」とのコメント付きで提供されたこちらのメインは、シェフのおっしゃるとおり肉っぽさが際立ちました。ニュージーランド産を選んで使っているそうです。私もラムは家で焼くことが多く、よく食べる素材のひとつです。いつもとは違う仕上がりのラム肉をいただけてありがたいです。


 最後はチョコレートのムース。バレンタインも近い日でしたからチョコレート系がでてくると、気分があがります。大きめのひとつぶ苺は素材そのままでスライスされていました。「素材そのまま」をレストランでいただけるのも、特に果物については個人的に大変お得でありがたく感じます。

 

【調理師学校を卒業してから今まで】 

 学校を卒業した当時、田中さんは19歳。卒業後すぐに代官山のフレンチカフェに就職しました。代官山という場所はこの頃、トレンディドラマなどでも多く使われ「おしゃれな街」の代名詞だったとも言えるでしょう。同店も旧山手通りに面した立地で日の光があたる空間がウリ、この言葉に見合ったお店のひとつでした。全100席超の大箱で田中さんは3年間勤務します。「席数多くても要は仕込みです。仕込みで頑張れればまわせます」と。実践していた人の言葉でリアリティがあります。 最初8名ほどいたスタッフは徐々に減り最後は3人でまわしていたそうです。その流れで様々な持ち場を担当することになり、結果的には最短で色々な経験とスキルを積むことになります。厳しく離職率の高い現場は逆にチャンスの宝庫かもしれません。

 次に務めたのは吉祥寺の一軒家フレンチ、そちらで3年半勤務します。その後那須塩原市に戻り土地を購入。地元の牧場レストランなどで7年働きながら開店の準備を進めます。商工会議所の事業計画書を書く勉強会に2ヶ月、NPO法人の主催するパソコン教室に3ヶ月と起業のための勉強もしたそうです。 


【今から調理師になる若者へ】

 「今思う事…そうですね、準備は早めにスタートさせた方が良いと思います」と田中さん。ご自身はお勉強も含め「急いで詰め込んだ気がしています。あらかじめ知っておくことが多ければ準備出来ることも増え、そのための期間もとりやすくなります」と振り返ります。別の切り口では「ホールや厨房の中で技術を積んできた一方、その外へ(お店の外へ)どう発信するかについても興味や関心を向けることが大事」と。お店を自分で持つ立場になりその大切さも実感、実践しながらの毎日です。


 【今まで続けてこられた理由】

 長く続けてこれたことに何か理由はあるかについてもたずねてみました。「『現場は(学校とは)違う』ということを分かって卒業していった方がよい。学校をでて現場に入ると、教え方は当然学校とは違うし、出来ると思って現場に入り早々に『出鼻をくじかれる』なんてこともあると思います」と。卒業してからの在り方を多少なりともイメージができる状態で卒業できれば最初にくじけずに踏ん張れるのではないかとの言葉もありました。

  卒業してから15年、かなり厳しい時期がありました。体がぎりぎりの頃もありました。キッチンで仕事中に倒れてお食事をされているお客様の間をぬって担架で運ばれ救急車にも乗りました。いつも「自己都合ではなく(電車が止まる等の外的要因で)職場に行けなくなればよいのに」と願って通勤していた時期もあったそうです。それでも折れずに進んでこられたのは、ひとつは「ご両親への気持ち」と話してくれました。「親に学費や住居費をだしてもらっていて『辞める』と言えなかった」と。もうひとつは入院した時のことです。先輩からかけてもらった言葉が響いたそうです。どんな言葉だったのでしょうか。お店で田中シェフご本人に聞いてみましょう。

 

【今からのこと】

  直近です。田中さんのお店「Brasserie Soleil」で4月にイベントがあります。 

《 Kotaro 's farm to table in SPRING 》

 ホテルエピナール那須(Hotel Epinard Nasu)のフレンチレストラン“Meli Mel'Anges” 吉田拓朗シェフと、田中シェフで那須高原こたろうファームさんのお野菜を作ってお料理します。畑から届く春の食材をふんだんに楽しめるコラボイベントです。日程など詳細は近くお知らせされます。 


 【あとがき】

 1軒目で田中さんのお店に行きました。調理師免許をとってから15年です。同じクラスで席をならべたそれぞれにきっと色んな事がありました。田中さんの15年であり、私にとっての15年でもあります。田中さんとつながって当時のクラスの皆の近況も知ることができました。どうもありがとう。これからは1つでも多くみんなの店に行きます。今まである意味放置していた15年でもあります。自分の年齢を考えると動き方も変わってくる頃です。ここから始めていければと思っています。

 田中さんと再会するにあたり、私も卒業アルバムというものをひっくり返してみました。田中さんも合わせたように当時のスナップ写真やら懐かしいものを持って来てくれました。ここに写真を載せたいですが今回は控えます。懐かしいというか恥ずかしいものばかりですけれど、そのまますぐに戻れる「あの頃」でした。これから今の皆に会えるのを楽しみに、また「会える自分」でいられるようにと思っています。

With thanks to TOMOKO OKAWA and SHINYA SEKI.  


國井直子official

広げる×広がる 人と食と好きなコト

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