磯谷富美子さん特別講演 犯罪被害者週間(H29.11.25-12.1)

 11月23日(木)に松山市で行われた磯谷富美子さんの講演会に伺いました。本講演は「公益社団法人 被害者支援センター えひめ」主催の犯罪被害者週間の行事のひとつです。富美子さんは平成19年8月に名古屋市で起きた「闇サイト殺人事件」の被害者のご遺族で、私は10月に偶然テレビでこの事件についての放送を観ました。番組の途中は内容が恐ろし過ぎて、チャンネルを変えることもありました。それでも最後にながれた富美子さんのコメントだけはしっかりと聴きました。今回のご縁で初めてオフラインで繋がることができました。

 講演が終わって東京へ戻り、約半月が経ちます。何人かの方とこの話をしました。話題にしながら新たに「色々な立場の人がいる」「様々な捉え方がある」ことを感じ得ました。講演の中から「私たちでも出来ること」「覚えておきたいこと」を記します。

※写真は当日夕刻のニュース番組より(@松山空港)  

 最初に、富美子さんから明確に言葉であった中で「警察官の方々へ、犯人逮捕は警察官の人しかできません。事件が起きたら犯人を捕まえて欲しい」。これは強く印象に残っています。文字にすれば当たり前のように読み取れるかもしれませんが切実な願いです。富美子さんの声色で分かります。世の中には未解決事件がたくさん有るということです。未解決事件の被害者遺族の方の心中は計り知れず、この言葉が響いて届いてきました。

 そして私たちが出来ることとして2つ具体的な行動があったと感じています。ひとつ目に、事件のビラ配りにあったら「そっと受け取ってあげて欲しい」。被害者遺族の方は「些細なことでも情報を集めたい」「どうにかしたい」という想いでいっぱいです。ビラ配りは「命日」にあわせてご遺族がされるケースが多いそうです。「命日にあわせて」なんて、考えなかった人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

 ふたつ目に、事件の前後で被害者遺族の方への接し方を変えないで欲しいということです。具体的には「今までと変わらずに接して欲しい。家族の嬉しいニュース(子供の結婚や孫の誕生などに)についても、話しちゃいけないなんて思わないで」と。 

 さいごに、富美子さんが講演活動を続けられているのは以下のような気持ちからです。 

(1)一人でも多くの人に日本の犯罪被害者の置かれている状況を理解してもらいたい。

(2)司法のあり方について考えてもらう機会となってほしい。まじめに生きている人を守る司法であってほしい。


 「司法」というこの二文字に、ここで添える力が私にはありません。一方で被害者遺族の方は「最も大きな二次被害は司法にあった」とも言います。

(1)「前科の有無」がそれ程重要か、前科が無ければ罪は軽いのか。

(2)「何人殺したか」という被害者数が何故そこまで重要か分からない。

 これらを含め私には「腑に落ちきらない」「理解できない」話が講演の中でいくつもありました。富美子さんからも講演後のアンケートの中には「判決に被害者数が重要視されることに対する疑問や反対意見」「被害者にくらべ加害者が手厚く保護されていることへの反論」が見受けられたと伺いました。


 「裁判官こそ人の命を軽んじているのではないか」と思わざるを得ないという声は、被害者遺族の方の中に実際に有ります。感情が震えるようなお気持ちも、広い会場の壇上に一人で立ち言葉を選びながら静かなトーンで伝えようとされていること自体が、痛く伝わってきました。

  加害者は国選弁護人が税金で付き、一日3食を税金で食べています。精神鑑定や犯罪心理鑑定も受けられます。被害者は裁判も署名活動も多額の費用をかけて自身で行います。「それでも願いが裁判官に届いたとは思えない」という現実が有るということです。


 ■講演レジュメ(内容の深さを知っていただけると思います)


■関連サイト

http://www2.odn.ne.jp/rie_isogai/


國井直子official

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