「掬えば手には」~読了~

 瀬尾まいこさんの「掬えば手には」を読みました。記録です。

※少々ですがネタバレあります。念のためお伝えします。

 私が印象に残ってよかったのは(特によかったのは)前半です。

まず41ページのラスト1行からのところです。現在放送中のドラマ「パーフェクトプロポーズ」(今夜が最終回)とも、しっかり私の中では重なりました。ドラマの最終回では半分なみだ目で「人と関わるのって重いね」と好きな相手にいう場面があります(ドラマ予告動画より抜粋)。

 人の気持ちを推しはかるのは「想像力」をどれだけ働かせることが出来るかということに尽きると、今まで思ってきました。今もそう思っています。いつだって繰り返す「傷つく」という場面では、自分の場合も他のどなたかの場合でもですが「(相手が)想像力をシャットダウンしたのだろう」「普通に考えれば言わないセリフですよね(とらない行動ですよね)」と思います。

 小説の中では、表に出していない相手の気持ちや言葉(我慢して自分だけの心に秘めようとしている傷ごと)を、「触れず見過ごした方がよいのかもしれない」と葛藤しながらも、主人公は上手に上手に触れていく(秘めたものをはきださせてあげる)というようなシーンが続きます。「誰かが誰かに話したい」「聞いて欲しい」これを上手に汲みとっていきたいと思いました。一方で自分の傷に関しては、傷ごとにならないように、少し「ズレ」を感じ得た相手からはたぶん「距離を置く」「忘れるようにする」「時間が解決するのを待つ」を選択するでしょう。いや、選択したほうが良いのです。

 次に117ページの最終段落からのシーンです。(大竹さんが)初めて店を開けた日のことを自分自身で振り返る場面です。大竹さんは飲食店経営をされている設定です。開店初日の不安、ここまで続けてきた日々のことが痛いほど分かり、伝わってきました。それはなかなか周りには理解されず、苦悩も多く、でも表には出さず(出す「先」もない)、抱えたまま淡々と店を開け続けてきた日々、とっても刺さるものがありました。大竹さんが飲食店のオーナーさんで、外食産業に関わる自分にとってはより良かったです。

 メモレベルの感想文ですがレモン色の表紙も含めとてもよかったです。

※本ブログサイトでは写真アップロード容量の制限が始まり、この記事から写真添付できなくなりました(笑) 今後のことは別途考えますが今日は今日とて一旦文字だけで載せます。

國井直子official

広げる×広がる 人と食と好きなコト

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