「これでいいのか?部活(@NHK)」 先生の仕事と時間について

 昨夜放送の番組、NHK「金曜イチから」を観ました。この日のテーマは「これでいいのか?部活」。バスケットボール未経験の教員がバスケ部顧問になり、結果的に余裕をなくし「続けられない」と教員そのものを辞めてしまったという先生のインタビューがありました。また取り返しのつかない結果となった事例では、福井の事件が紹介されていました。新任の中学校教員が野球経験ゼロで野球部の顧問になり、授業の準備やらに加えて部活のために野球の練習を続け、体もメンタルも追い込まれていきます。最終的に着任半年で自殺してしまったという話です。毎日中学生の頃から手書きで日記をつけていたという真面目な人です。息子さんを亡くした実のお父さまの言葉「部活の定義はなにか、先生の業務はなにか。疲れたら勝手に死んだらええやん、それっておかしいよね」と。

 学校の先生という職業、生徒側だった10代や20代の時分は私自身全く「先生側」のことを考えることがなかったように思います。授業もあまり聞いていた方ではなかったと思います。部活動、朝練や合宿、文化祭や体育祭などの行事も今思えば多くありました。全ての段取り、本当に先生方は大変だっただろうと思います。社会人になって仕事をし経験を積む中で、今はそれが分かります。今、私自身「教える」という機会をいただくことがあります。感じることはとても増えました。

 どの仕事も勿論大変です。でも教員という仕事は毎年クラスが例えば約20名だとしても20名から学年で50名、100名、200名以上もの生身の人間に出会い向き合う仕事です。一年経てばまた新しい人達と向き合います。この繰り返しは他のお仕事とはまた違う側面があると感じます。

 教員としての「優先業務」、残業はつかず教育過程にも含まれいない「部活の顧問」、このはざまで先生たちは揺れています。校長先生からの職務命令で顧問となるわけですが、取り組み範囲は各先生方の責任感や判断に任されています。どこまで部活にのめり込み、時間やエネルギーをかけるべきか先生方は悩んでいます。先生方の声は部活で時間をとられ、結果的に「教材研究ができない」「授業の劣化を(自分でやっていて)感じている」「夕方の会議などもあり忙し過ぎて、(生徒)一人すらみれない」など。「低学力の生徒への支援」「学校へ来たくても来られない生徒への支援」がもっと取り組みたい事案だが、分かっていても「出来ていない」「出来ない」と。

 一部の自治体では教師の負担軽減のための部活動への取組みも始まっています。杉並区はスポーツクラブと契約し、そこからの派遣の人が部活のコーチを行います。年間3,000万円程の予算を組み区内17校の中学校で実施しているそうです。静岡県磐田市では市の陸上競技場に行き3つの学校で一緒に公営部活という形で年間予算1,250万円を確保しました。まだ課題は多いようですが、部活の場を市が確保してくれているのはありがたいとの声がありました。長野県では朝練が廃止されました。いずれにしても、真面目に働いている先生方の心と体を守れる取り組みであれば進んで欲しいと思います。ゲストの小谷実可子さんは「自分自身に余裕がないと声をかけられない、教壇に立てない、自分がくたびれてクタクタで心をなくした状態で何か言ったとしても生徒に何も伝わらない」とも。本当にその通りだと思います。

 若い頃は考えてもみなかった「教師」という仕事。40歳あたりを超えてくると「何か人に伝えたい」「何か次の世代に繋げたい」と思う大人は多いと思います。ビジネススクールなどとは別で、子供達や次世代の若者向けであれば、よりやりがいがあるのではないかとも思います。「機会」が与えられたら、教える側の方が教えられる側よりもむしろ「得るもの」は多いと思います。教職員の方々の時間や心の余裕を作って助け、教えたい大人にとっても通常業務と別に子供たちと向き合える時間を得られるのはWIN-WINではないでしょうか。

 私が出会ってきた「先生」たちを今更のように思い出します。恵まれていたのだと思いますが、印象に残る先生方がどの時も自分の横に居てくれたと思います。中学、高校、大学、専門学校時代といつでもそうでした。その頃も、そして今も変わらずありがとうございます。次の世代へ、出来る範囲ではありますが自分なりに返していかなければならないと思います。

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